物流2024年問題と荷主の委託見直し|倉庫選定の確認点
著者・監修: 依田尚人(YDAIコンサルティング株式会社 代表)
物流2024年問題と荷主の委託見直し|倉庫選定の確認点
物流2024年問題を委託先選びへつなげるには、2024年・2025年・2026年の制度変化を分け、荷待ち・荷役・積載効率の確認項目へ落とし込みます。運送と保管の需給を一律に断定するのではなく、荷主が整理する受渡し条件と委託範囲を具体化することが重要です。
倉庫委託を見直す場面では、保管料だけでなく、車両の受渡し時間帯、パレット利用、荷役作業の分担を確認します。制度上の対象かどうかは個別に判断せず、該当し得る項目を整理して関係する窓口へ確認します。
物流2024年問題と荷主の関係【制度時系列の早見表】
物流2024年問題は、運転者の労働時間規制の適用と、荷主を含む物流効率化の制度変化を時系列で理解することが出発点です。荷主に関係する確認事項は、2024年、2025年、2026年で同じではありません。

| 時期 | 主な制度上の変化 | 委託条件へ落とす確認項目 |
|---|---|---|
| 2024-04-01 | 運転者の時間外労働上限規制が適用 | 荷待ち、荷役、受渡し時間帯 |
| 2025-04-01 | 荷主の努力義務が施行 | 車両集中の回避、パレット利用 |
| 2026-04-01 | 特定荷主の指定制度などが施行 | 該当判定、中長期計画、報告 |
2024年に適用された運転者の時間外労働上限
自動車運転業務では、特別条項付きの36協定を結ぶ場合の時間外労働の年間上限が960時間です。労働基準法第140条による特例の猶予は2024-03-31で終了し、この上限規制は2024-04-01から適用されています(労働基準法第140条、確認日: 2026-09-05)。
この規制は運転者を使用する事業者に関するものですが、荷主側も受渡し条件を整理する必要があります。荷待ちの発生場所、荷役の担当、受付時刻、予約の有無を委託条件に分けると、運送と倉庫内作業の境目を確認しやすくなります。
荷下ろしの準備が整う時点と、車両を受け入れる時点が異なる場合は、それぞれの連絡方法も確認します。通常時と繁忙期で入出庫量が異なるなら、時間帯と荷姿の変化を別の条件として示します。
2025年に始まった荷主の努力義務
物資の流通の効率化に関する法律第42条は、荷待ち時間などの短縮と積載効率の向上のため、荷主が取り組むべき措置を定めています。法律名の変更と荷主の努力義務は2025-04-01に施行され、現行の条文番号は第42条です(確認日: 2026-09-05)。
受渡し日時の設定、車両の集中回避、パレットなどの利用による荷役の省力化は、確認項目の例です。委託先を選ぶときは、これらを一つの抽象的な要望にせず、時間帯、荷姿、荷役の手順、責任分担として要件表へ置きます。
2026年の特定荷主制度を確認する
2026年からは、一定の基準に該当する荷主などを対象に、指定や計画、報告に関する制度が施行されています。すべての荷主が同じ手続の対象になるわけではないため、判定基準と自社の集計範囲を分けて確認します。

9万トン基準と該当確認
特定第一種荷主と特定第二種荷主の指定基準は、取り扱った貨物の年間合計重量が9万トン以上です。製造業の荷主では、前年度に貨物自動車運送事業者などに運送させた貨物の合計重量で判定します(物資の流通の効率化に関する法律施行令第6条第1項・第6条第3項・第7条第3項、確認日: 2026-09-05)。
9万トンという数値だけで自社の該当を決めず、どの貨物を集計するか、運送させた範囲に含まれるかを確認します。個別の該当判定は、関係する制度の案内と所管窓口を確認して進めます。
集計のために保管量や出荷件数をそのまま代用すると、制度上の基準と異なるおそれがあります。前年度の運送に関する情報を整理し、算定の根拠となる範囲を関係者間で共有します。
物流統括管理者・中長期計画・定期報告
特定荷主に指定された場合は、中長期的な計画の作成、物流統括管理者の選任と届出、定期の報告が必要になります。根拠は物資の流通の効率化に関する法律第45条から第48条で、指定制度、中長期計画、定期報告、物流統括管理者に関する制度は2026-04-01に施行されています(確認日: 2026-09-05)。
委託先の見直しでは、保管拠点だけを別問題として扱わず、荷待ち、荷役、配送の受渡しが計画上のどの項目に関係するかを整理します。制度上の手続と、日々の委託条件を同じ欄に混ぜないことが大切です。
倉庫委託の見直しに落とし込む
倉庫委託の見直しは、受渡し条件と荷役の情報をそろえ、保管・作業・輸配送の役割を分ける作業です。費用だけで比較せず、荷待ちや荷役が発生する条件を具体的に確認します。

荷待ち・荷役時間を短縮する確認項目
荷待ちと荷役の確認では、車両が到着する時間帯、受付の方法、荷下ろし・積込みの担当、必要な荷役機器を分けます。予約制の有無、パレット化の可否、検品に必要な時間、繁忙日の受渡し条件も、保管料とは別の項目として整理します。
荷役作業が倉庫側、自社側、運送側のどこに属するかを明らかにすると、当日の連絡先と例外時の対応を確認できます。作業時間の数値を見込みだけで固定せず、貨物と受渡しの実態を踏まえて委託先と照らします。
受渡し時間帯と積載効率を見積条件にする
見積条件には、納品先、受渡し時間帯、出荷の締切、荷姿、車両への引渡し方法を記載します。積載効率に関係するパレット利用や混載の可否も、貨物の安全性と作業範囲を確認した上で、条件として分けます。
保管、流通加工、輸配送をどこまで委託するかは、3PLと倉庫委託の違いで整理できます。共通の要件表を使い、通常時と繁忙期の条件を分けると、見積回答の前提を比較しやすくなります。
車両の到着が集中する日や、検品・ラベル貼りなどの作業が重なる時間帯も記載します。保管場所の条件と荷役の条件を分ければ、委託先に確認すべき設備、担当、受渡し手順を整理できます。
指導・勧告・命令の流れ
物資の流通の効率化に関する法律の取組内容に関する流れと、特定事業者の手続に関する違反は分けて理解します。荷主の努力義務を、直ちに一律の罰則につながる制度として扱わないことが重要です。

取組内容と手続違反を分けて理解する
取組内容については、判断基準に照らした指導・助言、取組が著しく不十分な場合の勧告、勧告に従わない旨の公表、命令という段階があります。命令違反には物資の流通の効率化に関する法律第75条第1号の罰則が定められています(同法第44条・第49条・第75条第1号、確認日: 2026-09-05)。
一方で、物流統括管理者の選任や計画・報告などの手続には別の規定があります。どの手続が必要かは特定荷主への指定などの前提で変わるため、取組内容の流れと同じ形で一般化せず、対象範囲を確認します。
委託先を見直す際は、制度上の確認と運用上の課題を別の欄に置きます。法令に関する個別の適用は所管窓口へ確認し、実務では受渡しと荷役の条件を関係者間で照らします。
よくある質問

荷主の努力義務はいつからですか
荷主の努力義務は2025-04-01に施行されました。現行の根拠条文は物資の流通の効率化に関する法律第42条で、荷待ち時間などの短縮と積載効率の向上のための措置が対象です(確認日: 2026-09-05)。
特定荷主は何で判定しますか
特定第一種荷主と特定第二種荷主は、前年度に貨物自動車運送事業者などに運送させた貨物の年間合計重量が9万トン以上かで判定します(物資の流通の効率化に関する法律施行令第6条・第7条、確認日: 2026-09-05)。
倉庫委託はどのように関係しますか
倉庫委託では、受渡し日時、車両の集中回避、パレット利用、荷役の分担を具体的な条件にします。保管と輸配送の範囲を分けることで、荷待ちや荷役の確認項目を見積条件へ反映しやすくなります。
まとめ
物流2024年問題に関する委託見直しでは、2024年の運転者の時間外労働上限、2025年の荷主の努力義務、2026年の特定荷主制度を分けて確認します。荷待ち、荷役、受渡し時間帯、パレット利用を条件として整理し、保管料だけで委託範囲を判断しないことが基本です。
物流と倉庫委託の基礎は実務ガイド、制度情報の収録基準は情報の収録基準と運営方針で確認できます。
出典
- 物資の流通の効率化に関する法律(laws.e-gov.go.jp)
- 物資の流通の効率化に関する法律施行令(laws.e-gov.go.jp)
- 労働基準法(laws.e-gov.go.jp)
著者・監修
依田尚人YDAIコンサルティング株式会社 代表
依田尚人は YDAIコンサルティング株式会社 代表。倉庫業法の登録制度と物流委託の要件整理・費目構造について、国土交通省の登録倉庫事業者一覧等の公開情報を一次ソースまで確認する工程を標準として、本サイトの記事を設計・監修しています。
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