営業倉庫と自家倉庫の違い|寄託・賃貸借と登録制度を整理
著者・監修: 依田尚人(YDAIコンサルティング株式会社 代表)
営業倉庫と自家倉庫の違い|寄託・賃貸借と登録制度を整理
営業倉庫と場所を貸す倉庫の違いは、寄託を受けて保管する倉庫業か、賃貸借としてスペースを利用するかにあります。保管を委託するか、自社の物品を保管するか、場所だけを利用するかを分けて考えると、確認すべき登録や契約の内容を整理できます。
「自家倉庫」という言葉で検討する場合も、建物の所有者だけで区別しません。物品の保管を誰が引き受けるのか、保管中の管理を誰が担うのか、寄託を伴うかを確認してから、委託先や利用形態を比較します。
営業倉庫と自家倉庫の違い【寄託・賃貸借の早見表】
営業倉庫と場所を貸す利用形態を分ける出発点は、寄託を受けた物品の保管か、スペースの賃貸借かです。倉庫業法上の制度は、寄託を受けて物品を保管する倉庫業に適用されます。

| 確認する点 | 寄託を受ける保管 | 場所を貸す賃貸借 |
|---|---|---|
| 基本的な関係 | 物品の保管を引き受ける | スペースを利用する |
| 確認の起点 | 保管内容、登録、管理体制 | 利用条件、設備、契約内容 |
| 制度上の整理 | 倉庫業法の倉庫業に当たり得る | 倉庫業には当たらない |
倉庫業と寄託の定義
倉庫業は、寄託を受けた物品を倉庫で保管する営業と定義されています(倉庫業法第2条第2項、確認日: 2026-09-05)。ここでいう倉庫は、物品の滅失または損傷を防止するための工作物などで、物品の保管に供するものです(同法第2条第1項、確認日: 2026-09-05)。
製造業が原材料や製品の保管を外部へ委託する場合は、貨物を預ける範囲、保管中の管理、入出庫の方法を整理します。名称に「倉庫」とあるかではなく、実際に依頼する保管内容を確認することで、必要な質問を準備できます。
寄託を伴う保管でも、流通加工や輸配送まで含める場合があります。保管、作業、輸配送を一つの言葉で済ませず、3PLと倉庫委託の違いを参考に、委託範囲を項目ごとに分けて整理してください。
場所を貸す賃貸借との違い
場所を貸すだけの賃貸借は、寄託を受けた物品を保管する倉庫業には当たりません。したがって、倉庫業法に基づく登録、施設基準、倉庫管理主任者の規律は及びません(倉庫業法第2条第2項、確認日: 2026-09-05)。
ただし、実際の利用形態を一般的な説明だけで決めることはできません。契約書の名称だけではなく、保管中の管理、入出庫の手順、事故時の連絡、荷役の担当などを確認し、必要に応じて関係する窓口や専門家へ相談します。
保管場所を比較する際は、賃貸借か寄託かに加え、貨物の荷姿、保管期間、温度帯、床荷重、入出庫条件も分けます。条件を一枚の表にすると、利用するスペースの条件と保管を委託する条件を混同しにくくなります。
倉庫業の登録制度で確認すること
倉庫業の登録制度では、登録の有無だけでなく、倉庫ごとの管理体制、約款、料金の掲示、施設設備の基準を確認します。委託する貨物と保管条件を先に整理してから、登録情報を照らし合わせる進め方が実務的です。

登録制と倉庫管理主任者
倉庫業を営もうとする者には国土交通大臣の登録が必要です。現行制度は許可制ではなく登録制であり、倉庫ごとに倉庫管理主任者を選任することが定められています(倉庫業法第3条・第11条、確認日: 2026-09-05)。
倉庫業法の現行版は2025-06-01施行です。法令名、条番号、確認日を資料に残し、更新時に異なる版の情報を混ぜないようにすると、登録制度についての説明を確認しやすくなります。
荷主が確認する際は、登録の有無だけで結論を出しません。予定する貨物、保管方法、保管期間、付帯作業を伝え、委託する内容に必要な確認事項を整理します。
寄託約款・料金掲示・施設設備基準
倉庫業者には、倉庫寄託約款の届出、料金等の掲示、施設設備基準への適合に関する規律があります(倉庫業法第8条・第9条・第6条第1項第4号、確認日: 2026-09-05)。施設設備の具体的な基準は、保管する物品の種類に応じて確認します。
荷主が見積を比較するときは、料金だけでなく、どの保管条件や作業が費用に含まれるかを確認します。保管料、荷役料、流通加工費、輸配送費を分け、各費目の対象となる数量や期間を同じ単位でそろえることが大切です。
寄託約款や料金の扱いを確認する場合も、個別の契約内容は一律ではありません。保管条件に変更がある場合の連絡方法や、入出庫時の確認方法を事前に整理し、必要な資料を確認します。
委託先を検討するときの確認順
委託先を検討するときは、最初に貨物と委託範囲を整理し、その後で寄託に当たる保管か、登録情報を確認する流れにします。確認順を固定すると、登録の有無と貨物条件を別々に見ることができます。

委託する保管が寄託に当たるかを整理する
まず、保管する貨物、荷姿、数量、保管期間、入出庫の頻度、付帯作業を書き出します。次に、保管中の管理を誰が担うか、保管場所を利用するだけか、物品を預けて保管を依頼するかを確認します。
この整理は、個別の契約を法的に判定するためのものではありません。依頼する内容を具体化し、登録や施設設備について何を確認すべきかを、委託先や関係する窓口へ質問できる状態にするためのものです。
複数拠点を比較する場合は、共通の貨物条件と拠点ごとの条件を分けます。入出庫時間、配送先、荷役方法が異なるなら、同じ見積条件として扱わず、別の欄に記録します。
公的リストと照会先を確認する
倉庫業の登録の有無は、国土交通省が公表する登録倉庫事業者のリストと、各地方運輸局または運輸支局への照会で確認できます。リストの基準日や掲載項目を確認し、最新の照合が必要な事項は窓口で確認します。
公的リストは、委託先の優劣を決めるための順位表ではありません。登録の確認という目的に限定し、貨物条件、保管方法、契約条件は別に質問して、同じ資料に整理します。
登録の有無に関する不利益な評価を、古い資料だけで断定しないことも重要です。掲載状況に疑問がある場合は、推測せず、地方運輸局または運輸支局の照会先へ確認します。
監督と措置の流れ
倉庫業法の監督に関する規定は、登録制度と施設設備の基準が守られているかを確認するためのものです。荷主は罰則だけを基準に選ぶのではなく、登録情報と委託条件を分けて確認します。

報告・立入、改善命令、停止・取消しの順序
国土交通大臣は、必要があると認めるときに報告を求め、または立入検査を行うことができます(倉庫業法第27条、確認日: 2026-09-05)。施設や設備に関しては修理、改造、種類変更の命令、事業の改善命令が定められています(同法第12条第2項・第15条)。
法令または処分に違反するなど一定の場合には、六か月以内の営業停止または登録の取消しが定められています(同法第21条、確認日: 2026-09-05)。措置の対象や順序は事情により異なるため、「登録がないように見える」といった情報だけで個別の状況を判断しません。
保管委託を検討する際は、登録情報を確認したうえで、貨物に必要な設備、保管条件、受渡し方法を質問します。制度上の確認と実務上の要件を一つにせず、確認表の欄を分けておくと整理しやすくなります。
よくある質問
営業倉庫と自家倉庫を考える際は、所有者や名称だけで決めず、寄託を受ける保管か、賃貸借として利用するかを確認します。以下は一般的な制度の整理であり、個別契約については関係する窓口や専門家へ確認してください。

倉庫業は許可制ですか
倉庫業を営もうとする者には国土交通大臣の登録が必要です。現行制度は許可制ではなく登録制です(倉庫業法第3条、確認日: 2026-09-05)。
賃貸借の倉庫は倉庫業法の対象ですか
場所を貸すだけの賃貸借は、寄託を受けた物品を保管する倉庫業には当たりません(倉庫業法第2条第2項、確認日: 2026-09-05)。
トランクルームと営業倉庫は同じですか
トランクルームは、消費者の物品の保管に供する倉庫として倉庫業法で定義されています。事業のために寄託する場合とは対象が異なります(倉庫業法第2条第3項、確認日: 2026-09-05)。
まとめ
営業倉庫と場所を貸す倉庫の違いは、寄託を受けて保管する倉庫業か、賃貸借としてスペースを利用するかにあります。保管を委託する場合は、貨物、保管期間、作業、入出庫、受渡しの条件を整理し、登録情報と合わせて確認します。
委託条件を整理するときは、倉庫・物流のガイド一覧と情報の収録基準と運営方針も確認してください。個別の契約や登録の照合は、関係する窓口や専門家へ確認します。
出典
- 倉庫業法(昭和三十一年法律第百二十一号)(laws.e-gov.go.jp)
- 国土交通省「物流:倉庫業法」(mlit.go.jp)
著者・監修
依田尚人YDAIコンサルティング株式会社 代表
依田尚人は YDAIコンサルティング株式会社 代表。倉庫業法の登録制度と物流委託の要件整理・費目構造について、国土交通省の登録倉庫事業者一覧等の公開情報を一次ソースまで確認する工程を標準として、本サイトの記事を設計・監修しています。
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