食品保管の委託先選び|温度帯・営業届出・衛生管理の確認
著者・監修: 依田尚人(YDAIコンサルティング株式会社 代表)
食品保管の委託先選び|温度帯・営業届出・衛生管理の確認
食品を冷凍・冷蔵で保管する委託先は営業届出の対象で、常温倉庫で食品を貯蔵するだけなら届出不要です。温度帯、保管のみか小分けなどの作業を伴うか、衛生管理の条件を分けて、委託先と所管の保健所へ確認します。
食品衛生法の現行版は2025年6月1日施行、食品衛生法施行令の現行版は2025年4月1日施行のものを確認しています。以下は2026年9月5日に確認した範囲の一般的な整理であり、個別の営業区分や手続は保管場所を所管する保健所へ確認します。
食品保管の委託先で確認する制度【温度帯別の早見表】
食品の保管では、冷凍・冷蔵で保管する営業か、常温で食品を貯蔵するだけの営業かで、食品衛生法上の扱いが異なります。保管場所の温度だけで判断せず、実際に行う作業と保管する食品の状態を分けます。

| 保管・作業の条件 | 食品衛生法上の確認点 | 最初に確認する相手 |
|---|---|---|
| 食品を冷凍・冷蔵で保管 | 営業届出の対象 | 所管の保健所、委託先 |
| 常温で食品を貯蔵するだけ | 営業届出の対象外 | 所管の保健所、委託先 |
| 小分け・詰め替え・加工を伴う | 行為に応じた営業区分 | 所管の保健所、委託先 |
| 温度管理が必要な貨物 | 冷蔵室の区分と運用条件 | 委託先、必要に応じて保健所 |
冷凍・冷蔵で保管する営業の届出
食品衛生法第57条第1項と食品衛生法施行令第35条の2第2号により、食品の冷凍又は冷蔵業は営業届出の対象です。施行令第35条の2第2号は、届出不要の「貯蔵のみ又は運搬のみをする営業」から食品の冷凍又は冷蔵業を除いています。
冷凍・冷蔵で食品を保管する営業は、食品衛生法施行令第35条が定める32業種の営業許可ではなく、営業届出として整理されます。保管する食品の状態、温度帯、保管場所、保管以外の作業を示し、委託先と所管の保健所に確認します。
届出の確認では、委託先の名称だけでなく、実際に食品を冷凍・冷蔵で保管する営業所と保管場所を対応させます。複数の拠点を使う場合は、温度帯、保管する食品、作業の有無を拠点ごとに分けて確認します。
常温で貯蔵のみを行う営業の扱い
常温倉庫で食品の貯蔵のみを行う営業は、食品衛生法施行令第35条の2第2号本文により営業届出の対象外です。これは保管以外の行為を含まない場合の扱いであり、食品を扱うすべての活動が届出不要という意味ではありません。
小分け、詰め替え、加工、販売に関わる作業がある場合は、貯蔵のみと同じ扱いにしません。委託する作業を保管、検品、包装、加工、出荷に分け、どの行為が対象になるかを保健所へ確認します。

衛生管理で確認する項目
食品の保管では、届出の有無だけでなく、衛生管理の内容と運用を確認します。食品衛生法上の区分と、温度、清掃、異物混入防止、記録などの管理方法を同じ確認表に混ぜず、項目ごとに整理します。
HACCPに沿った衛生管理
食品衛生法第51条第2項は、営業者にHACCPに沿った衛生管理を求めています。一般衛生管理と重要工程管理の内容を定めて遵守する仕組みであり、HACCPに沿った衛生管理の制度化は2020年6月1日に施行され、1年間の経過措置を経て2021年6月1日に完全施行されました。
委託先の確認では、保管中の衛生管理、温度に関する管理、入出庫時の取扱い、異常時の連絡方法を分けます。一般的な名称だけで管理内容を判断せず、食品の状態、保管場所、作業範囲に応じて確認する項目を整理します。
衛生管理の記録を確認するときは、誰がどの場所で行う管理かを分けます。保管中の管理と、入荷、検品、出荷の工程に関する管理を同じ言葉で済ませず、食品を扱う場面ごとに確認します。
容器包装に入れられた食品を扱う場合
容器包装に入れられた食品のみを貯蔵、運搬、販売する営業者は、食品衛生法施行令第34条の2第3号の小規模な営業者等に当たります。この場合は、取り扱う食品の特性に応じた衛生管理の取組として整理されます。
容器包装の状態、破損時の扱い、保管場所、検品や返品時の作業を分けます。食品の状態が変わる作業や、包装を開ける作業がある場合は、貯蔵のみとして扱わず、行為に応じて確認します。

保管以外の作業を分けて確認する
食品保管の委託範囲では、保管の前後に行う作業が制度上の確認と費用の前提の両方に関わります。作業の名称だけで一括せず、どの状態からどの状態へ変えるのかを確認します。
小分け・詰め替え・加工を伴う場合
食品を小分け、詰め替え、加工する場合は、単なる貯蔵とは別に扱います。食品衛生法施行令第35条第31号には食品の小分け業が許可業種として定められており、作業の実態に応じて確認が必要です。
委託先へは、包装を開けるか、内容物に触れるか、ラベル貼付だけか、食品を組み合わせるかを分けて伝えます。営業許可や届出の要否を一般論で決めず、作業場所と工程を示して所管の保健所に確認します。
温度帯・保管条件・作業範囲を見積条件にする
温度帯、保管期間、荷姿、入出庫、検品、包装、輸配送を分けると、委託条件と見積の前提を確認しやすくなります。温度管理が必要な食品は、保管中だけでなく、入庫や出庫の時点で必要な条件があるかも整理します。
危険物への該当がある貨物は、食品衛生の確認と消防上の確認を別にします。危険物倉庫とは、倉庫の種類は10種類、冷凍・冷蔵倉庫の温度帯も、確認項目を分ける参考になります。
見積を比較する場合は、保管料、温度管理、入出庫、検品、小分けなどの作業を別の費目として確認します。食品衛生上の確認内容と費用の確認内容を分けることで、どの条件を委託先へ伝えたかを追いやすくなります。

監督と相談先の流れ
食品衛生に関する監督では、所管の保健所による確認から、指導や命令、営業の禁止や停止に関する手順があります。個別の営業者にどの手続が関係するかは、公開情報だけで判断せず、所管の保健所へ確認します。
保健所の指導・命令・営業停止の段階
食品衛生法に関する監督は、報告徴収や立入検査を経て、改善指導や命令、営業の禁止又は停止へ進む段階があります。食品衛生法第60条と第61条には営業の禁止又は停止に関する規定があり、届出や衛生管理に関する不明点はまず所管の保健所で確認します。
届出がないことだけから直ちに処分や罰則を判断せず、事実確認、保健所の指導、命令、法令上の措置を分けます。委託側は、保管場所、温度、食品の状態、作業範囲を整理し、確認した内容と確認日を記録します。

よくある質問
冷凍・冷蔵の食品保管は許可が必要ですか
食品の冷凍又は冷蔵業は、営業許可ではなく営業届出の対象です。食品衛生法施行令の32業種の許可業種に食品の冷凍又は冷蔵業は含まれず、根拠は食品衛生法第57条、同施行令第35条・第35条の2、確認日は2026年9月5日です。
保管だけでなく小分けや加工を伴う場合は、同じ扱いにしません。作業場所、包装の状態、行う工程を示して、委託先と所管の保健所に確認します。
常温倉庫で食品を保管する場合は届出が必要ですか
常温倉庫で食品の貯蔵のみを行う営業は、営業届出の対象外です。根拠は食品衛生法施行令第35条の2で、確認日は2026年9月5日です。
小分け、詰め替え、加工を伴う場合は、貯蔵のみとして扱いません。食品の状態と作業の内容を分け、どの手続を確認するかを所管の保健所へ相談します。
HACCPに沿った衛生管理とは何ですか
営業者が一般衛生管理と重要工程管理の内容を定め、遵守する仕組みです。根拠は食品衛生法第51条第2項で、確認日は2026年9月5日です。
確認では、食品の保管温度、清掃、異物混入防止、入出庫、異常時の連絡など、保管と作業の条件を分けます。委託先が示す管理内容と、自社の食品に必要な条件を照らして確認します。
まとめ
食品保管の委託先では、冷凍・冷蔵での保管は営業届出、常温での貯蔵のみは届出不要という違いを分けます。保管以外の小分けや加工、温度帯、衛生管理、作業範囲を整理し、個別の営業区分は所管の保健所へ確認します。
確認した内容は、対象の営業所、食品の状態、温度帯、作業範囲、確認日を組にして残します。保管する食品や作業が変わるときは、以前の整理をそのまま使わず、変更後の条件で確認します。
出典
- 食品衛生法(昭和二十二年法律第二百三十三号)(laws.e-gov.go.jp)
- 食品衛生法施行令(昭和二十八年政令第二百二十九号)(laws.e-gov.go.jp)
- 倉庫業法施行規則(昭和三十一年運輸省令第五十九号)(laws.e-gov.go.jp)
著者・監修
依田尚人YDAIコンサルティング株式会社 代表
依田尚人は YDAIコンサルティング株式会社 代表。倉庫業法の登録制度と物流委託の要件整理・費目構造について、国土交通省の登録倉庫事業者一覧等の公開情報を一次ソースまで確認する工程を標準として、本サイトの記事を設計・監修しています。
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